アムステルダムの中心部、美しい運河沿いに
ひっそりと佇むファン・ローン博物館(Museum Van Loon)は、
17世紀のオランダ黄金時代にタイムスリップできる貴重な場所です。
かつてアムステルダムを代表する名家が暮らしたこの邸宅は、
当時の華やかな生活様式や、彼らが築き上げた豊かな文化を今に伝えています。
アムステルダムの美しい運河沿いを歩く中で、
『この豪華な邸宅の中はどうなっているんだろう?』と好奇心を抱いたことはありませんか?
このファンローン博物館ではその建物内に入り17世紀のオランダの生活を垣間見ることができます。
歴史を感じさせる家具、そして手入れの行き届いた美しい庭園は、
他の美術館とは一味違う、よりパーソナルな魅力で溢れています。
この記事では、ファン・ローン博物館の魅力や見どころ、
アクセス方法、そしてアムステルダムの旅をさらに深めるためのヒントを、
実際に訪れた視点も交えながら詳しくご紹介します。
正直なところ、期待と違った点もいくつかあったので、
そういった部分も含めてお伝えすることで、
皆さんの旅の計画に役立ててもらえたら嬉しいです。

ファン・ローン博物館の歴史と魅力:運河沿いの邸宅に息づく名家の物語

黄金時代の邸宅建築:運河沿いの豪奢な暮らし
ファンローン博物館は他の美術館とは違い、建物自体がメインといえます。

アムステルダム市内を歩いていると建物の入り口が狭く感じませんか?
入り口が狭く、高いのでひょろっとした建物にみえます。
このような作りになったのにはその当時のオランダの税法が関係しています。
間口の広さによって税率が変わったからと言われています。

京都のウナギの寝床のような感じでしょうか?
このファンローン博物館も奥に長く中央には綺麗な中庭まであります。
このような建物は「カナルハウス」と呼ばれています。
また「ファサード」が家主の財力や好みを表しています。
ファサードとはフランス語・イタリア語が語源の建物の正面部分のことです。
この邸宅は、オランダ黄金時代の経済的繁栄と、それが生み出した建築文化、
そして当時のアムステルダム市民の生活様式を肌で感じることができます。
ファン・ローン家とは?:アムステルダムを支えた名家の足跡

ファン・ローン博物館は1672年建築家アドリアン・ドルツマンによって設計されました。
最初の居住者はレンブラントの弟子である画家のフェルディナント・ボルでした。
ファン・ローン家は結婚した息子への結婚祝いとしてこちらの家を購入し
1884年からここに住み始め、貿易と政治に携わっていました。
1602年にオランダ東インド会社(VOC)の共同設立者であり、
その子孫にはVOCの取締役が数名います。
他の一族は後にアムステルダム市長などを務めました。
19世紀にはファン・ローン家は貴族に加わりました。
結婚祝いでこの家を贈られたウィレム・ヘンドリック氏は銀行の頭取を務め
奥様はウィルヘルミナ女王の姪でした。
博物館に展示されている膨大な肖像画コレクション中で最も古いものは16世紀初頭のものです。
このように、ファン・ローン家は、オランダの繁栄を築き上げた黄金時代から現代に至るまで、
経済、政治、文化、そして社会の各分野で多大な影響力を持っていた、非常に歴史深い一家と言えるのではないでしょうか?
オランダのデン・ハーグではエッシャ―美術館を訪れています。
ウィルヘルミナ女王の母親が宮殿として利用していた場所です。
デン・ハーグに行かれる予定の方はぜひ行ってみてください!
不思議な世界エッシャーインヘッドパレスチケット・アクセス

別々に訪れていた場所がこのように
ウィルヘルミナ女王で繋がっているのは面白いですよね!
見どころ解説:邸宅内の贅沢な空間と貴重なコレクション
贅を凝らした部屋の数々:当時の生活を垣間見る
ホール(Entrance Hall)

まず建物入って目に入るのがこちらの階段とホールです。
階段は吹き抜けになっており太陽光が差し込みます。
階段の装飾も美しいです。
ダイニングルーム(Dining Room)

壁には肖像画やデルフト焼き?でしょうか。
飾り皿がかけられています。


目の前には今まさに食事が始まるかのように完璧にセッティングされた食器が並んでいます。
壁にかけられた豪華な肖像画に描かれた人々が、まるでその食卓を囲み、
談笑しながら食事を楽しんでいる様子が、目に浮かぶようでした。
ブルーサロン


鮮やかなブルーを基調としたサロンに入って、まず目を奪われるのは、壁一面を飾る数々の巨大な肖像画です。
部屋をぐるりと見渡すと、肖像画が持つ存在感を感じます。
レッドサロン


このレッドサロンにも、ファン・ローン家の肖像画が壁一面に飾られていました。
ここにも数多くの肖像画が飾られていましたが、ブルーサロンの大きな絵と比べると、
ややこぶりなものが多かったです。
この肖像画の大きさの違いからブルーサロンはより公的な人を招くときに使用され
レッドサロンは近しい人を招くときに使われていたのかな?と感じました。
サンルーム?書斎?

公式HPにこの部屋の名前が載っていなかったので
正式名称が分からないのですが、このお部屋がすごく私は好きでした。


白色を基調としたお部屋で陶器や子供たちの肖像画が飾ってあります。
窓が多く、すごく明るいお部屋で窓からは庭を眺めることができます。
バラの咲いている時期にきたらこの部屋からの眺めは素晴らしいだろうなと感じます。
2階の廊下

こちらには手紙や天皇陛下が来られた時の写真などが飾られています。
鳥の部屋


こちらは鳥の部屋と呼ばれているお部屋です。
青を基調としたかわいらしいお部屋で壁紙が印象的です。
壁に鳥が描かれているから鳥の部屋という名前だったと思います。
羊の部屋


こちらも壁紙が特徴的なお部屋です。
ベット・シーツまで壁紙と同じ柄です。

こちらも壁紙に羊が描かれているので羊の部屋と呼ばれています。
赤い部屋【寝室)


こちらは寝室のようでベットから壁紙まで赤色で揃えられています。
キッチン:地下室

かわいらしいタイルで飾られたキッチンです。
調理用具がそのまま置いてあるので、働く姿が目に浮かぶようです。
エッシャーインヘッドバレスでもキッチンは地下室にありましたので
オランダではキッチンは地下室に作るものなのでしょうね。
中庭

こちらの扉をあけて中庭に入ります。


私たちが訪れた5月前半にはバラは一切咲いておらず、
中庭の景色は寂しいものでした。
ですので中庭に写真は撮っていません。
馬車小屋

この一見美術館の入り口のような建物が馬車小屋です。


当時の馬車が飾られています。
今ではカフェとして営業しているようです。
中に座れる場所もあり、中庭でも飲むことができます。

こちらがメニュー表です。
お値段はすごく良心的な価格だと思います。
ファンローン博物館を訪れた決め手と正直な感想

本を読んで期待したこと、訪問のきっかけ
私がファン・ローン博物館を訪れる決め手となったのは、
まず観光雑誌で見たバラが咲き誇る美しい庭園の写真でした。
その写真に心を奪われ、ぜひこの目で見てみたいと強く思いました。
さらに、この邸宅が17世紀のオランダ東インド会社(VOC)に関わる非常に裕福な名家の邸宅だったと知り、
当時のアムステルダムで最も繁栄した人々の暮らしぶりに興味を持ちました。
運河沿いに建つその邸宅が、どんなに広大で豪華なのか、
実際にその内部を見学できることに大きな期待を膨らませて訪問を決めました。
訪問前に知っておきたい点:私の正直な感想
ファンローン博物館を訪れる際に、私が事前に把握しておけばよかったと感じた点を、
皆さんの参考になるようにまとめました。
- 建物の広さと見学範囲
事前の情報やイメージから、もっと広大な邸宅全体を見学できると期待していました。しかし、実際に足を踏み入れてみると、思ったよりもコンパクトでした。そのため、私が期待していたのとは、少しギャップを感じました。
- 展示解説の方法
館内にはオーディオガイドの貸し出しはありませんでした。展示品の解説は、QRコードをスマートフォンでスキャンし、テキストで表示されます。自分のペースで詳しく読めるメリットがある一方で、スマートフォンの充電や通信環境によっては不便を感じる可能性があり、日本語に翻訳して読みましたがあまり具体的には分かりませんでした。
- 庭園の様子(バラの開花時期)
事前に見た観光雑誌の写真で、バラが咲き誇る美しい庭園に強く惹かれていました。しかし、私の訪問時期の5月1週目にはバラは咲いておらず、写真のような華やかさは見られませんでした。庭園のバラを楽しみにされている方は、事前に開花時期を確認しておくことをおすすめします。

これは完全に私のミスです。
- 入館料と滞在時間のバランス
入館料は16ユーロでしたが、上記の点(見学範囲、解説形式、庭園の様子など)も相まって、個人的にはこの金額に対して、滞在時間(約1時間以内)や体験のボリュームがやや物足りなく感じられました。
費用については、個人の興味や、他の美術館・施設との比較によっても評価が分かれるかもしれません。
ファンローン博物館の見どころと訪問時の注意点
所要時間の目安
博物館や美術館を長く見るタイプの私たちですが
所要時間は50分ほどでした。
だいたい30分~1時間ぐらいで見てまわれると思います。
館内施設(カフェ・ショップなど)
カフェは先ほど紹介した通り、馬車小屋にあります。
チケット情報、アクセス、周辺スポット
チケット料金と開館時間
チケット料金
大人: 16.00ユーロ
学生/CJP: 12.75ユーロ
10名以上の団体: 1人あたり12.75ユーロ
6歳から18歳までの子供: 9.00ユーロ
6歳までの子供: 無料
ミュージアムカード、シティパス、IAmsterdamシティカード、
レンブラントパス、ICOM、MBOカード: 無料
博物館ではカードでのみお支払い

私たちは公式HPで時間だけ予約して
ミュージアムカードでおとずれました。
ミュージアムカードの解説記事も良ければ読んでみてください!

開館時間と休館日
開館時間:毎日午前10時から午後5時まで
休館日:国王の日、12/25.12/31、12/24(午後3時まで)、1/1(午後3時まで)
詳しい休館日はファンローン博物館の公式HPでご確認ください。
ファン・ローン博物館へのアクセス
トラムと地下鉄でアクセスすることができます。
アムステルダム中央駅からは
トラム4.14.12でアクセスします。
トラム4番の場合Keizersgrachtで下車、徒歩5分
トラム14番の場合Rembrandtpleinで下車、徒歩5分
地下鉄の場合はVijzelgrachtで下車、徒歩5分
アムステルダム中央駅から所要時間は約15分です。

周辺のおすすめスポット
運河沿いの美しい街並みと歴史的建造物
カイザー運河自体がユネスコ世界遺産に登録されており、運河沿いの豪華な邸宅群は圧巻です。
散策するだけでも、17世紀のオランダ黄金時代の面影を感じることができます。
ヴィレット・ホルトハウゼン博物館 (Museum Willet-Holthuysen)
ファンローン博物館と同様に、17世紀の裕福な商人の邸宅を公開している博物館です。
ヘーレン運河沿いにあり、豪華な内装や美しい庭園を見学できます。
無料のオーディオガイドもあります。
ファンローン博物館と比較して、内装や展示の雰囲気の違いを楽しむのも良いかもしれません。
【Klook】ヴィレット ホルトハウゼン博物館 入館チケット
【Trip.com】ヴィレット・ホルトハウゼン博物館チケット
キャッテンキャビネット (KattenKabinet – 猫の博物館)
猫をテーマにしたユニークな博物館で、猫に関する美術品やオブジェが展示されています。
猫好きにはたまらないスポットです。

ファンローン博物館はこんな人におすすめ!
ファンローン博物館は、私の正直な感想を踏まえて下のような方に、特に訪問をおすすめします。
・オランダ黄金時代の邸宅建築や、当時の人々の暮らしに深い興味がある方
豪華な内装や歴史を感じさせる家具は、当時のアムステルダムの富裕層の生活様式を肌で感じさせてくれます。
・アムステルダムの主要な観光地は巡り終えたリピーターの方
ゴッホ美術館や国立美術館のような大規模な施設とは異なり、より個人的で落ち着いた雰囲気の中で歴史に触れたい方におすすめです。

来場者は20代以上が多い印象を受けました。
・運河沿いの美しい邸宅の内部を実際に見てみたい、と好奇心がある方
アムステルダムの運河沿いに並ぶ豪華な建物の「中はどうなっているんだろう?」という素朴な疑問を持っている方にとって、その内部を実際に体験できる貴重な機会となると思います。
まとめ
アムステルダム国立美術館やゴッホ美術館のような大規模なコレクションとは一線を画し、
ファンローン博物館は「パーソナルな歴史体験」を提供してくれる場所でした。
ここは、広々としたギャラリーを次々と巡るというよりは、当時の名家が実際に暮らした
こぢんまりとしたプライベートな空間を見ることができるのが醍醐味です。
正直なところ、私個人の感想では、事前に期待していたほどの建物の広さはなく、
特にバラが咲いていなかった庭園の様子や、
オーディオガイドがない代わりにQRコードを読み込む形式の解説は、少し残念に感じた点です。
そのため、16ユーロという入館料に対しては、滞在時間(1時間以内)や体験のボリュームを考えると、
やや割高に感じる方もいるかもしれません。
しかし、この博物館は、17世紀のオランダ黄金時代に富裕な市民がどのように生活し、
文化を育んだのかを、非常に具体的なイメージで教えてくれます。
アムステルダムの運河沿いの美しい邸宅の内部を実際に見てみたい方にはおすすめできます。
特に、オランダの運河文化や邸宅の歴史に関心がある方にとっては、
この時代の理解を深めるための重要な場所となると思います。
結論として、ファンローン博物館は、誰もが満足する万人向けの観光スポットではないかもしれません。
しかし、特定の歴史や文化に深い興味を持つ方にとっては、その価値を十分に感じられるはずです。
訪問を検討される際は、ぜひこの記事で触れた私の正直な感想やなども参考にしてみてください。

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