2025年のゴールデンウィークに念願のオランダまで行ってきました!
初めてのオランダ旅行で、デン・ハーグを訪れるなら
外せないのが『エッシャー・イン・ヘット・パレス』!
エッシャーのほとんどの作品がこちらに所蔵されており
家族や友人に絶えず手紙を書いていたエッシャーの手紙も見ることができます。
オランダのデン・ハーグを訪れたら、
ぜひ足を延ばしてほしい場所です。
だまし絵で有名なM.C.エッシャーの作品が、
かつての宮殿で体験できるユニークな美術館です。
この記事では、エッシャーの不思議な世界を存分に楽しむための見どころから、
チケットの買い方、アクセス方法、所要時間まで、
初めての方でも迷わず満喫できるように私たちの体験からご紹介いたします!
「真珠の耳飾りの少女」に会った後は
ぜひ数学とアートが融合するM.C.エッシャーの作品に会いに行ってください!



エッシャーの作品に見入ってしまい
ほとんど作品の写真がありません!

気になった作品はぜひ現地に行って
みてください!
すみません。
エッシャー・イン・ヘット・パレスとは?

どんな美術館?

エッシャー・イン・ヘット・パレスでは
エッシャーの木版画などを常設展示しています。
その他にエッシャーの手紙や幼少期の作品も見ることができます。
【Het palais】はオランダ語で宮殿という意味で
hetは英語のtheにあたる冠詞です。
名前の通りもともとこの建物は宮殿として利用されていました。
第4代オランダ国王(女王)ウィルヘルミナの母親エマ王妃の
冬の宮殿として1901年から亡くなるまでこの宮殿で公務を行っていました。
亡くなってからはウィルヘルミナ女王、ユリアナ女王、ベアトリクス女王と使用されていきます。
この宮殿にはアメリカのミニマル・アーティストである
ドナルド・ジャッドの作品である独特の寄木細工の床や
ハンス・ファン・ベンテムの壮大なシャンデリアが
使用されています。
エッシャーの作品の「だまし絵」の特徴である
錯視・メタモルフォーゼなどの技法から
エッシャーの重要なテーマである「永遠と無限」に触れることができます。
展示の最後には実際にエッシャーの世界を体験できる展示もあります。
エッシャーの作品はお子様には難しいのが多いですが
最後の展示はお子様も楽しめるのではないかなと思います。
エッシャーの不思議な世界を体験!見どころ・展示の楽しみ方

エッシャー作品をより楽しむために!
エッシャー作品は難しいものが多いですよね。
数学的な「メビウス」・「無限」・「平面の正則分割」など
エッシャーについて調べると難しい単語がたくさん出てきます。
単純に見るだけでも楽しめるのですが少し知識を入れておくとより楽しめるはず!
エッシャーに関する本を何冊か読んでまとめました!
エッシャーの作風の変化
エッシャー美術館は年代別に展示されており
1階から順番に見ると年代での変化がより楽しめます。
1937年以前と以降で作風が変化しています。
1937年以前は風景がテーマになっているものが多く
エッシャーはよく海外旅行に行っていたので
その土地の風景をよく版画にしていました。
1937年以降は数学的傾向が特徴になっています。
1937年以降がよく知っているエッシャーの作品になります。
エッシャー作品の分類
エッシャー作品はいくつかのテーマに分類することができます。
1.規則的空間図形
2.平面の正則分割
3.螺旋形
4.メビウスの帯
5.遠近法
6.メタモルフォーシスと循環
7.無限への接近
8.平面上に描かれた像と、描かれたものの三次元的リアリティの間の葛藤
9.多くの世界の相互貫通
10.空間的以上(不可能の図形)
11.相対性
1937~1946 カテゴリー6・8・9
1946~1955 カテゴリー1・5・9
1955~1969 カテゴリー7・10
カテゴリー2の平面の正則分割は色々な年代で描かれており
ほとんどエッシャーの最後の作品まで続けられています。
色々難しいことが書かれていますが、
こういうテーマを持ってエッシャーは描いていたのだなと知ると
この版画作品はこれかな!?と分かって
少し理解できた気になると思います!(笑)
代表的な作品の紹介と見どころ
バベルの塔(Tower of Babel)
1928年 木版
こちらの作品は風景をよく描いていた時代の作品ですが
エッシャーが通常とは異なる視点で描いた最初の作品です。
バベルの塔に描いている人々を白と黒で表しており、
互いの言語を理解できないことを表現しています。
鳥観図で描かれています。
のちにエッシャーはこの作品において
「遠近法に対する理解の欠如、若さゆえの不手際が表れた典型的な例」
と語っているようです。
爬虫類

1943年 リトグラフ
エッシャーは爬虫類もよく描いていました。
2次元のテセレーション(ある図形を使って隙間も重なりもなく平面を敷きつめる様子)に
押し込められたトカゲが退屈している様子だそうです。

トカゲがかわいくて思わず写真を撮りました!
左下に描かれている「JOB(ヨブ)」という文字から
旧約聖書のヨブ記は魂の再生を扱っているので
この絵は魂の再生のサイクルだとも解釈されているそうです。
しかし、エッシャーはその解釈は認めていないそうです。
別世界

1947年 木口木版、木版
この作品には幾何学的なパラドックス(逆説)が用いられています。
どこが天井で、どこが底なのか分からなくなる作品です。
ここでどの窓を選ぶかによって上下、左右、前後といった概念が
交換可能であることに気づくことができます。
神話に登場する人面鳥シームルグが描かれています。
このシームルグの像をエッシャーは所有しており
義父から結婚祝いとしてもらいました。
他の作品「鏡面球体のある静物」にも登場しています。
魚とうろこ

1959年7月 木版画
こちらはエッシャーでよく描かれる魚がモチーフ。
平面の正則分割をテーマに魚が平面を永遠に続くかのように配置され
魚がうろこになっています。
メタモルフォーシスⅢ

1967~1968年
真ん中に展示されているのがメタモルフォーシスⅢです。
超大作で全て繋がっています。
メタモルフォーシスの文字が正方形、蜂、魚、鳥と姿を変え
最後にはまたメタモルフォーシスの文字に戻ります。
この作品は見ていて飽きないのでずっとぐるぐるしてしまいました。
図録や作品集とは違って1枚で続けて見られるので
この作品は現地で見ることをオススメします!
その他にも有名な「滝」「描く手」「昼と夜」など
有名作品を多数みることができます。
体験型展示や仕掛け
建物の3階には体験型の展示があります。

この正立方体の中に入ってるように見えるものや
トリックアート展にあるような
巨人と小人になれるような展示もあります。

エッシャーの作品ではないですが
錯視を利用した作品があります。

面白い写真が撮れるのでお子様や友達と楽しみながら
作品に入り込んだ体験ができます!
宮殿としての魅力
エマ王女の宮殿として利用されていたので
建物の装飾もすごく豪華。

こちらはエッシャー美術館の中央にある階段です。
吹き抜けで壁に沿うように階段が配置されています。
真ん中にあるシャンデリアもすごく素敵ですよね。

窓が多く日差しが差し込みます。
床の絨毯はエッシャー美術館らしく
テセレーションで配置されています。

こちらは展示室に置いてあるイスとテーブルです。
王室の方々の顔が描かれているのでしょうか。
シャンデリア
エッシャー美術館のシャンデリアが全てかわいらしくて
たくさん写真を撮りました!


タツノオトシゴと地球儀


がいこつとクモ


モチーフが不明なシャンデリアとチェロ?バイオリン?シャンデリア
天井や装飾、シャンデリアなど見るべき場所が多くて大変です!

ライトにもこのようなモチーフが描かれています。
絨毯の配置だったり、ライトだったり
エッシャー作品と美術館の装飾が融合されていて
隠れミッキーのように探す楽しさがあります!

注意深く観察すると
もっとエッシャーモチーフの装飾があるかもしれません!
エッシャー・イン・ヘット・パレスへのアクセス方法

デン・ハーグ中央駅(Den Haag Centraal)から
徒歩:12分
トラム:15番か17番を利用して「Korte Voorhout」で下車
乗車時間は約2分「Korte Voorhout」からは徒歩3分
総所要時間は5~6分
デン・ハーグHS駅(Den Haag HS)から
徒歩:27分
トラム:15番16番17番を利用して「Korte Voorhout」下車
乗車時間7.8分「Korte Voorhout」から徒歩3分
総所要時間10~11分
9番を利用して「Den Haag, Malieveld」下車
乗車時間10分「Den Haag, Malieveld」から徒歩5分
総所要時間15分
マウリッツハイス美術館からのアクセス
徒歩:5分
すごく近くにあるので朝マウリッツハイス美術館に行って
美術館でランチを食べてお昼からエッシャー美術館と
1日ではしごすることもできますよ。


宿泊したホテル(voco the Hauge)からのアクセス
徒歩:7分
美術館に近いという理由で決めたホテルです。
マウリッツハイス美術館にも徒歩7分で到着します。

チケットの買い方:当日券 vs 事前予約

事前オンライン予約がおすすめな理由
私たちは事前にKlookというサイトでチケットを購入していきました。
メールで送られてくるチケットにQRコードが載っているので
そちらを窓口にある機械にかざします。
時間指定はなく11:00~17:00の間にいつでも入場できます。
【Klook】エッシャー イン ザ パレス(エッシャー美術館)チケット
当日券の購入について
当日券を購入している方は多かったです。
開館と同時の朝いちばんに行ったのでそれも当日券を購入している方が
多い理由かもしれません。
混雑で入れなかったり売り切れてしまう可能性もあるので
事前購入をおすすめします。
料金体系
大人:13.5ユーロ
13~17歳:10.5ユーロ
7~12歳:7.5ユーロ
学生割引:12.5ユーロ
※2025年6月現在

Klookでは2,165円で購入できました。
クレジットカードでユーロ決済だと
クレジットカード手数料+カード会社の為替レートがかかるので
日本円で買える(KlookやKKday等)サイトを使うか
ソニーバンクウォレットなどの外貨決済できるデビットカードなどを
利用することをおすすめします。

ゴッホ美術館をクレジット支払したら
すごいレートで決済されてしまった私たちからの忠告です!(笑)
訪問計画のヒント:所要時間・開館時間

鑑賞にどれくらいの時間が必要?
私たちは2時間かかりました。
だいたいは1時間半~2時間ぐらい確保していればいいと思います。
駆け足でみた場合は1時間ぐらいで見られるかもしれませんが
建物も見どころがあるのでもったいないかなと思います。
開館時間と休館日
休館日は月曜日
営業時間:11:00~17:00
チケット売り場は16:30に閉まります。
クリスマス・元旦はお休みでそれ以外の休日は営業時間が変更になりますので
公式HPでご確認ください。

エッシャー・イン・ヘット・パレスを楽しむためのQ&A

エッシャー・イン・ヘット・パレスの注意事項
まずは窓口でチケットをかざすと扉を開けて中に入ります。
中に入るとスタッフの人にどこの国の人か聞かれます。
英語で注意事項を口頭で説明してくれます。
そこで荷物は地下のロッカーに入れてねなどと説明されます。
手荷物は預けられる?
ロッカーがあるのでまずは地下1階に行き荷物を預けます。

入場する時に白いコインを渡されるのでそれを入れて使います。

サイズはそれほど大きくないので
スーツケースなどは入れられません。

帰る時にロッカーの横にあるこちらのカゴの中に
白いコインをいれて帰ります。
オーディオガイドはある?
エッシャ―美術館には日本語のオーディオガイドがあります。
エッシャ―美術館の公式HPのオーディオガイドというところを押すと表示されます。

私たちも公式のオーディオガイドを利用しました!
もし2人で美術館にいくならこういう分岐ケーブルがあるといいですよ!
2人で同時で聞けますし、携帯1個で大丈夫なので
その間にもう1人の携帯の充電ができます。
旅行中に最適です!

今回の旅行で大活躍でした!
美術館内にカフェやショップはある?
MCカフェ

地下1階にMCカフェもあります。
エマ王女の厨房だった場所にあります。
コーヒー3ユーロなので比較的良心的な価格です。
作品を見るのに疲れたら一息つくのにおススメです!

エマ王女の女中気分にもなれるかも!(笑)
このショップの前にトイレがあります。
トイレの数は1個か2個ぐらい。見終わった後はトイレに列が出来ていました。
ショップ

ショップは1階にあります。
営業時間:11:00~16:50
現金不可でカード支払いのみです。
ショップだけはチケットが無くても入れます。
受付で伝えるとショップの中に入れます。

こちらのポストカードをお土産に購入しました。
左:《相対性》1953年
3つの世界が同時に共存しているので
どちらを上にするかによって人が階段を登っていたり降りていたりと
見え方が変わるのでポストカードならより楽しめます!
右:《滝》 1961年
エッシャーの作品でよく知られている作品の一つです。
流れ落ちる水は水車を回し続け、その流れは始点まで戻っていきます。
ポストカードを購入するなら《相対性》や《別世界》など
上下左右いろいろな視点で楽しめる作品だと
くるくる回しながら鑑賞できるのでエッシャー作品をより楽しめます!
まとめ
今回はオランダのデン・ハーグにある
エッシャー・イン・ヘット・パレスをご紹介しました。
エッシャーの作品をほぼ全て見ることができます。
年代別で並んでいるのでエッシャーの作風の変化が分かり易いです。
マウリッツハイス美術館とは違った作品が見ることができます。
数学的視点が多くて難しいですが
単純に版画でここまで表現できることへの驚きや
メタモルフォーシスは単純にずっと見ているだけでも
その変化の過程が興味深いので
深く考えずに楽しむのもおすすめです。
色々な発見があるはず!
エッシャー・イン・ヘット・パレスで
「だまし絵」のエッシャ―の不思議な世界を堪能してください!
参考文献
エッシャ― 不思議のヒミツ 発行所:株式会社求龍堂
M・C・エッシャー-その生涯と全作品集 出版社 : メルヘン社
アートと科学の交差点no.267 出版社 : 日経サイエンス
参考HP
エッシャ―インヘットパレス公式HP
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